沖縄の観光業の実情について。
徒然なるまま書いてみます。
■まず沖縄の観光業の状態について。
先日の日経のニュースでは、こんな感じです。
沖縄県が発表した1月の入域観光客数は前年同月比9.7%増の58万1600人となり、1月としては過去最高を記録した。前年同月の実績を上回るのは40カ月連続。韓国からの観光客が単月で初めて4万人を超えるなど、外国客の大きな伸びが全体を押し上げた。
国内客は1.0%増の46万6700人。成人の日を含む3連休の入り込みが好調だった。東京方面からは1.1%、関西からは4.6%増えた。
外国客は11万4900人となり、69.2%増加した。航空路線の拡充などを受け、韓国からは35.8%増の4万3200人が沖縄を訪れた。中国本土は約3.4倍の2万8800人だった。
2月は国内外とも航空路線の新規就航や増便などが予定されており、県は「観光客数は好調に推移する」(文化観光スポーツ部)とみている。
ちなみに沖縄の経済は3.7兆円で。沖縄統合事務局の発表では、H26年度の結果は以下の通りでした。
観光収入:4970億円(昨対比:114%)※内、外国人観光客640億円
観光客1名あたりの県内消費額:72,000円
平均滞在日数:3.95日
余談:那覇空港の稼働状況
【国内線】
就航先(那覇~県外) 23路線 111往復/日
就航先(那覇~県内離島)6路線 47往復/日
【国際線】
就航先(那覇~海外)7路線 81往復/週
※香港、台湾、仁川、上海、北京、釜山島
別途、那覇港は、平成26年の沖縄へのクルーズ船の寄港は167回を予定。
そのうち那覇港は88回、石垣港は73回 と両港ともに過去最高の寄港見通し。
という事で、今、受入側で何が起こっているのかというと、
①那覇空港がパンク状態。現在は第2滑走路を建設中。※19年12月に完工、20年3月末に供用開始の予定
②那覇国際空港も就航路線が続々、決定。
③那覇港もパンク状態。※2015〜17年に那覇港に寄港できないクルーズ船が計85件
という、①~③の沖縄の入域経路が飽和状態になるくらい、観光客の増加が激しく、そこかしこで中国・台湾・韓国の観光客の方を見かけます。※沖縄は空路と海路しかないので、内需の期待が大きくできない手前、外需の観光客の受入体制は死活問題です。
※地元民しかいかない様なビーチや公園・飲食店にも出現してますね。
またこんなニュースも。
という事で、沖縄は今、ある意味、観光関連は絶好調なのである。
どこに行っても、観光客・こんな場所まで観光客である。
例えば、浦添市にある浦添大公園ですら、週末は観光客でいっぱいになる。
※遊具が多めのちょっとした公園にも関わらずです。
※地元民しか知らないビーチにも観光客が・・・なんてこともざらにある。
それによって、種々の問題もあるが、沖縄では今、観光業に関わる人材が枯渇している
■今、観光客の受入の入り口。空港関連の雇用の需要がものすごいあります。
観光客の受け入れもそうだが、第2滑走路の建設、国際空港の開港、流通事業の巨大化(沖縄が進めるアジアハブ空港構想)の一貫で、グランドスタッフ(カウンターセールス関連や整備・貨物関連)は本当に足りていない。
とある県内の企業の方に聞くと、「本当に足りていない。路線は増やしたいのに受け入れスタッフが確保できずに困っている。」こんな話も聞く。
しかしながらハンドリングスタッフは、結構、過酷な仕事である。カウンターにおいても、那覇空港は空港サイズと観光客数の数が、バランスがとれていなく、
たとえば台風になると、こんな事になる。
また輸送、貨物の方ではこんな感じ。
記事によるとこうです。
沖縄地区税関那覇空港税関支署の資料によると、那覇空港の14年の国際貨物取扱量は約17万8089トン。これは成田、関空、羽田に次いで4位となる。ANAが沖縄で物流事業を始める前の08年(935トン)と比較すると、約190倍に達している。
そら、6年で190倍増やしたら、大変ですよ。
貨物は特に旅客が終わる時間、深夜~明け方にかけての作業も当然発生するので、
空港は24時間稼働。当然、ハンドリングスタッフの交替勤務で受け入れ態勢を作る。
という様な事で、大変なのです。
そしていくつか、そんな沖縄のハンドリング会社の求人情報を記載致します。
■A社
勤務形態:0:00~24:00の交替制(シフト)勤務(実働7.5時間)
待遇:基本給:13万円 賞与:年2回 昇給:年1回
年間休日:96日(月平均8回)
■B社
勤務形態:各所に応じたシフト勤務制 1ヶ月単位の変形労働時間制とし、1週間平均労働時間40時間以内
待遇:月給制 132,000円(生活・住宅手当含む)正社員登用後は、142,000円
但し、試用(教育)期間中は時給制とし、時給720円
休日:月間8~9日程度・年次有給休暇制度有
■C社:搭載業務・客室清掃業務・手荷物取扱業務
時給 :820円
勤務 :シフト勤務実働7時間30分
休日 :月に7~8日
契約期間: 長期(6ヶ月更新)
どうですか。大変な仕事ですが、なかなか賃金が厳しい状況なんです。
※沖縄ではこれでも全然、普通ですけどね。
おそらく今後は港湾関連の雇用も生まれてきそうですが、現状は、空港の求人が多数出ているという状況でしょうか。
若年者には人気の職種や花形に見えますが、業務自体は結構、シビアでも離職率も高い傾向にあります。
ただし、最近の傾向としてやはり勤務待遇を上げていかないと離職率が高いまま、と言う事で企業側も、契約社員から正社員化を促したり、時給を上げたりと工夫をしだし始めている、、、というのが現状です。
また北海道や福岡ではニュースにもなっていますが、観光バスが足りていない。。。
という事は沖縄ではまだそこまで聞いていません。ただし、今後、
沖縄は観光バスよりもレンタカーですね。
県内のレンタカー登録台数が7月末時点で3万1341台となり、統計を始めた2007年以降、過去最多となった。初めて3万台を突破
※最近はこんなステッカーが貼られた「わ」・「れ」ナンバーをよく見ますね。
ここまで受入体制やなんやかんや。話をしましたが、、、
沖縄の観光業、月給6千円増 正規・非正規とも伸びる | 沖縄タイムス+プラス
沖縄県の観光産業実態調査で、2015年度上半期の観光関連業種の平均月給が18万5001円となり、前年同期より6247円(3・5%)増加したことが分かった。平均月給は正規社員、非正規社員ともに増加。従業員に占める正規社員の割合は4・2ポイント上昇し、55・3%だった。県担当者は「入域観光客数の増加に伴い、事業者の売り上げも伸び、従業員の賃金アップにつながっている」と分析する。
■ホテル関連求人の待遇について
例えば、観光業というと、まずホテル関連が思い浮かびますが、求人関連はこんな感じです。
■A社(県内地場大手高級ホテル)
雇用形態:正社員
初任給:大学・院卒:178,334円 短大:168,334円
休日:年間94日(月4日以上)、年次有給休暇(初年度10日~上限20日)
勤務時間:シフト管理による勤務で実働7.5~8時間
■B社(海外ブランド高級ホテル)
雇用形態:正社員
初任給:大卒・短大・専門卒:150,000円
休日:年間104日+特別休暇10日
勤務時間:月/実働176時間
■C社(県内地場大手ホテルグループ)
雇用形態:正社員
賃金:月給制(4年大卒:146,000円 短大・2年専卒:136,000円 1年専卒131,000円 高校126,000円)
休日:年間休日数88日 年次有給休暇(6ヶ月継続勤務後、初年度10日、最大40日)
勤務時間:1ヶ月変形労働時間制(1日平均7.5時間)
0:00~24:00の間でシフト制(勤務時間は職種によっ変動)
小の月(4・6・9・11月)171時間
大の月(1・3・5・7・8・10・12月)177時間
2月160時間※勤務時間が40時間以内、ひと月(160~177時間)になるように事前にシフトを組みます。
という状況です。
沖縄県内でもホテルは無数にあり、この求人もおそらく良い方です。
沖縄のホテルは那覇近辺のシティホテルから、名護や恩納村などのリゾートホテルなどで生活スタイルはまるで変わります。
名護や恩納村は沖縄では北部と言われるエリアになり、
沖縄の中心部の那覇までは車で1.5~2時間程度かかる距離となり、
会社の寮に住むか、ホテルの近辺に住むかなどになり、生活圏が那覇などの都市部ではなく、リゾート県内で住む事になります。
また現状、今まで沖縄のGWや夏休み、6月・9-10月などは修学旅行などで繁忙期となり、それ以外の冬場などは閑散期と業務の多忙度にばらつきがありましたが、
近年ではコンスタントに観光客が入ってくるため、常にフル稼働状態になってきています。
その為、離職が出た場合は、新しく採用される人が入ってくるまで、中の社員で踏ん張るしかない状態が続き、雇用環境としては今は苦しい状態です。
沖縄に移住してみて、住んでると、こんな話を若者から聞きます。
「名護?遠いから行きたくない。実家が宜野湾だし。」
「ホテル?バイトで働いたけど、辛いし、休みなしだからヤダ」
「ホテル?社員が大変そう。居酒屋の店長と同じくらい大変そう。」
「ホテル?いや、それよりも公務員でしょう。」
などなど、実は沖縄の地元の若者にとっては、あまりいいイメージがないというのが現状でしょうか。
とはいっても、ホテルで働く魅力は働いている人に聞くと、たくさんあるみたいですね。カウントダウンパーティーや各種イベントなどで宿泊客の方とスタッフが家族の様にコミュニケーションをとったり、絶景の夕日や天候の中で結婚式などのパーティに同席したり、やはり非日常の空間でしか味わえない状況を共有したり、同じ場にいるのは、給与や待遇に変えられないほどの感動だそうです。※もっと詳しく聞いておけばかけたのですが、、、すいません。。。
大きな話でいうと、観光客増は今後、しばらく続きますし、USJができるという話や、北部エリアの再開発などで外資系ホテルの建設が予定されていたりと、間違いなく成長産業である事はありません。マクロ環境は間違いなく良いので、ミクロ及びソフト面(働く環境)の雇用環境の改善が急務とされているのが、観光業といったところでしょうか。
USJが乗り出す沖縄パークに秘められた魅力 | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
※今は、政治関連でモメてますけどね。
沖縄にとっての観光業は、資本や製造業が未発達の状況では、重要な産業である事は間違いありません、内需の拡大もそうですが、外需の拡大が要諦である事から、働く環境の改善、観光業の仕事の魅力などをもっともっと発信、PRをしていかなければ、観光客は来るけども、働き手がいない。という最も、辛いパターンになってしまうかもしれませんね。
という事で、本日はこの辺で。